活動銀河核を持つ銀河(M77)のスペクトル観測


M77(NGC 1068, 銀河), 光度:8.9mag, 直径:7.3′ x 6.3′, 分類:Sbp
BKP300(1500mm f5), MPCC-MK3, HEUIB-II, Sony α7s(新改造), ISO12800, 露出30s x 24=12分, タカハシ-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2017/12/21, -1℃, 東御市・観測所

銀河は星の集団なので、それらの星の光を平均した連続光で光ってます。と、昔習いました。しかし明るい中心核を持つ活動銀河(セイファート銀河)は輝線で光っていること、しかも、たくさん存在することを知り、ぜひ自分でも確かめてみたいと思ってました。今回そんな銀河の代表M77に自作分光器を向けてみたらブラックホール由来といわれる強烈な輝線が見え、最新銀河論の一端に触れられたようで2017年一番の感動でした。

M77銀河(くじら座)は、地球からの距離約4700万光年、活動銀河核(AGN)を持つ最も明るいセイファート、タイプ2の銀河です。大型の銀河で中心部に超大型ブラックホールがありそこに落ち込む物質のエネルギーで中心部が強く輝いていると考えられています。可視光で普通に写真をとっても形態的な特異性がわかるだけですが、スペクトルで観測するとさらに様々なことがわかります。

M77 中心部のスペクトル


M77(NGC 1068, 銀河)のスペクトル(Wide Slit 250μm)
BKP300(1500mm f5), Sony a7s(改造)、自作分光器(愛光者7号)、ISO25600, 30s x 12, 2017/12/21   長野県東御市・観測所

今回は幅の広いスリット(250μm)を使用しましたが、この銀河の核は非常に明るいのでもっと狭いスリットでも十分観測可能だったと思います。中心部をスペクトルで見ると、強烈な水素、酸素、ケイ素などの輝線で輝いていることがわかります。これらの輝線はドップラー効果による広い幅をもっているので、放射源が超高速で動いており、ブラックホールを取り巻く降着円盤付近のガスから発せられているのだろうと予測されます。

 


M77 生データの解析グラフ

M77はタイプ2のセイファート銀河に分類されています。タイプ1は幅の広い輝線と狭い輝線の両方を含むもの、タイプ2は幅の狭い輝線しか見られないものです。幅の広い線は短い時間スケールで変光を示すのでブラックホールにより近い位置に起源を持ち、狭い線は外縁部が起源と予測されていますが、中心核の構造を詳しく知れるほどの分解能を実現できていないため定説は定まっていません。

セイファート銀河は輝線で光っていることを知ったときには、銀河のスペクトル観測は我々の機材では相当難しいだろうと思っていました。しかし実際にやってみるとセイファート銀河の中心核は強烈に明るいので、散光星雲などの観測よりたやすく撮像できることがわかりました。

セイファート銀河のスペクトルはその成因から変動、変光することも多々あるようです。我々の小さな機材は時間制限なく使用できるので、その変化を長期に追いかけられたら面白いかもしれません。

 

 

 

 

 

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