NGC 5824(球状星団・おおかみ座)

NGC 5824(Globular Cluster・Lupus
BKP300(1500mm f5), MPCC-MK3, HEUIB-II, Sony α7s (modification), ISO12800, 30s x 16=8m, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2020/02/21, 03h 50m, -4.0℃, Tomi City / Observatory, Viewing angle: 52 ′ x 35 ′ ↑ N

NGC 5824(Globular Cluster・LupusMag:9.1 mag, Size:6.2′, Class:GC,  RA 15h03m58.6s DEC -33d04m07s (J2000.0)
Viewing angle: 12′ x 8′ ↑N

NGC 5824は、おおかみ座にある見かけの大きさは小さな球状星団です。星団の推定年齢は約120億年、星団までの距離は約104,000光年と遠く天の川銀河の外部ハローの中にあります。目立たない球状星団ですが、近年、球状星団の生い立ちを知る上でこの星団で重要な発見がありました。

球状星団M2, M54, ω Cenは、元は矮小銀河であったものが天の川銀河との重力干渉でその外部のガスや恒星が剥ぎ取られ、銀河の核付近だけが残ったものであることがわかってきました。(KUZMA P.B.ら2018 MNRAS)によるとNGC 5824の広視野測光調査から、星団を包み込む恒星流の強い痕跡はないが、星団は非常に広がっていて少なくとも半径230 pc近い大きさであることがわかり、これらのことからNGC 5824は外部を剥ぎ取られた矮小銀河の核である可能性があるとしています。

(CHANG J.ら2020 ApJ)によると、くじら座の恒星流(Cetus Stream )は非常に拡散した構造で太陽系から20〜50Kpcの距離にあり、100度以上の広がりを持って銀河面を横切っている恒星流です。NGC 5824はこの恒星流と強い関連があり、矮小銀河だったNGC 5824の壊滅過程をN体シミュレーションした結果、NGC 5824は中心から外れた位置にあったとすると観測されている恒星流をよく再現できるとしています。

この球状星団は、元矮小銀河だった可能性が高いようです。

おおかみ座、ケンタウルス座、てんびん座 境界 ファインディングチャート
Pentax PDA50-135mmf2.8(70mm f3.5), Pentax K5IIS(ノーマル), ISO3200, 90s x 8=12分, TS-NJP, TemmaPC, α-SGRIII, 2020/02/21, -4.0℃, 東御市・観測所 ↑N

NGC 5824は、おおかみ座のケンタウルス座との境界付近、オオカミの前足付近にあります。周囲には目立つ星雲も星団も無く日本からは南に低い位置であるために注目されることの少ない領域です。

 

 

5件のコメント

  1. orioさん、おはようございます。
    NGC5824は地味ですが撮影した事があります。
    (伊豆は南に低い天体を撮りやすいです)
    ωCenがとりこまれた矮小銀河の核という話は有名ですが
    M2、M54そしてNGC5824もその可能性があるのですね
    他にも「くじら座の恒星流」と関連する天体があるのでしょうか?

    • pbokatayamaさん、遠方にある球状星団は、ほとんどが元は矮小銀河だったけれどその証拠が見つかった物はまだ少ない。というのが現在の大勢のようで、それに対する反論は今のところ見かけません。「くじら座恒星流」とNGC 5824の関連はシミュレーションの計算結果から導き出したもので、決定的な証拠としては弱いかな?と思いました。今のところは、関連しそうな天体はNGC 5824だけのようです。

  2. Pbokatayamaさん。こんばんわ~。コメントはスパム判定で保留されてました。コメントは管理者の承認がないと表示されない仕様なので、すいません投稿後最大24時間くらいお待たせすることがあります。申し訳ありません。

  3. orioさん、ではM79や はと座のNGC1851 なんかが天の川銀河に接近しつつある「おおいぬ座矮小銀河」に属する球状星団が銀河系に捕獲されたというのも同じ様に決定的ではないんでしょうね

    • Pbotakayamaさん、お話としては面白い、けれど「おおいぬ座矮小銀河群」自体についてよくわからないこと(出自、距離など)が多くて、この例に関しては異論続出のようです。

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